真宗問答
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真宗問答
お寺は自分の思いや願いをかなえてくれる場所ではないと聞かされましたが、本当にそうなのでしょうか。

 「苦しい時の神頼み」という言葉がありますが、私達は現実の苦しい生活から逃れたくて神仏に祈り、ご利益を得ようとします。例えば息災延命、家内安全、商売繁盛など人間の都合を求めての祈りは多種多様であります。一般にそういう祈りに応じてご利益をもたらしてくれるものが宗教であるかのごとく考える人も多いのではないでしょうか。
 しかし、仏教でいう利益とは「自利利他円満(じりりたえんまん)」といい自ら利益を得ることは同時に他の人びとを利益することであると説かれています。仏の教えによって得られる利益(りやく)は、金銭上や物質上の利益(りえき)ではなく、自らのいのちの尊さに目覚めて生きるものとなるそのような自身を獲得することにあります。
 お釈迦様は、自らの誕生の時、七歩歩まれて天と地に指とさし「天上天下唯我独尊」と叫ばれたといわれます。それは、世の中で自分が最も偉いというのではなく、自らのいのちの尊厳に最も深く目覚めた叫びを言い表したものです。
 その仏陀の教言(きょうごん)に出遇い、教えに導かれ育てられることにおいて初めて、他と共にという世界が開かれてくるのであります。
 その意味では、少なくとも浄土真宗の寺院にあっては決して個人的な願い事をかなえて下さる場所ではなく、人間の本当の生き方を学ぶ聞法の場所として存在しているのであります。

 さっぽろ東本願寺  第112号より